バイクのフロントフォークは、走行時の衝撃を吸収し、安定したハンドリングを実現する重要なパーツです。しかし、長期間使用するとオイル漏れやダンパーの劣化が起こり、本来の性能を発揮できなくなります。
今回は、フロントフォークのオーバーホールを実施したので、その症状や作業手順、メンテナンスのポイントについて詳しく解説します。
フロントフォークの劣化症状とオーバーホールが必要なサイン
フロントフォークは定期的なメンテナンスが必要ですが、以下のような症状が出た場合は、オーバーホール（分解・洗浄・パーツ交換）が必要になります。
フロントフォークの劣化症状
- オイル漏れ：フォークのインナーチューブにオイルが滲んでいる、または漏れが見られる。
- ダンピング不足：フロントサスペンションが沈み込みやすくなり、路面の凹凸をうまく吸収できない。
- 異音発生：走行中やブレーキング時に「ギシギシ」「コツコツ」といった異音がする。
- ハンドリングの違和感：カーブで不安定になったり、前輪の動きが鈍く感じる。
- インナーチューブのサビや傷：フォークの摺動部分にサビや傷があると、オイルシールの劣化を早める。
ダンピング不足
オイル漏れや異音がしていると何かおかしいと分かり易いですが、ダインピング不足（沈み込み過ぎ）というのは気づきにくいと思います。今回、エンジンのオイル漏れで持ち込んだ際に内田さんに指摘されて分かりました。
フロントフォークもオーバーホールはしたことがないと思うので、シール関係が劣化してかなり沈み込んでいますね。ブレーキをかけた時にグーー！！っと沈み込んでいたと思います。
自分のPS250の場合、いきなりなったのではなく、徐々に沈み込み量が増えていた為、気づかなかったのだと思います。
実際に下記の状態を見てもらうと分かり易いですが、フロントフォークがピカピカになっている部分までサスペンションが沈み込んでいるということです。
では適正な沈み込み量はどれくらいかというと、車種にもよりますが、PS250の場合はだいたい三分の一くらいが適正沈み込み量です。
もうかなり限界近くまで沈みこんおり、「底つき」という状態に近くなっています。
底つきとはサスペンションが限界まで縮んだ状態のことで、この底つきが起こると路面からの突き上げをダイレクトに感じます。 このサスペンションが限界まで縮む底つきは、フロント側に想定以上の負荷がかかった時に発生します。
オーバーホールの流れ
必要な工具・パーツ
オーバーホールには、以下の工具や交換パーツを用意します。
✅ 工具類
- フロントスタンドまたはジャッキ
- ソケットレンチセット
- 六角レンチ
- マイナスドライバー
- シールプーラー（オイルシール取り外し用）
- フォークシールドライバー（新しいシールを圧入するため）
- パーツクリーナー
- トルクレンチ
✅ 交換パーツ
- フォークオイル（粘度はメーカー推奨のものを使用）
- オイルシール
- ダストシール
- フォークスプリング（必要に応じて交換）
- スライドメタル・ブッシュ（摩耗が激しい場合）
① フロントフォークの取り外し
- バイクをフロントスタンドで持ち上げ、前輪を外す。
- ブレーキキャリパーを外し、フロントフェンダーを取り外す。
- フォークボルト（トップキャップ）を緩め、フォークをステムから抜き取る。
② フォークの分解・洗浄
- フォークオイルを抜くため、トップキャップを外す。
- スプリングとスプリングカラーを取り出し、フォークオイルを排出する。
- ボトムケースのダンパーボルトを外し、インナーチューブを抜く。
- オイルシール・ダストシール・スライドメタルを取り外す。
- 各パーツをパーツクリーナーで洗浄する。
③ 新しいオイルシール・パーツの交換
- スライドメタル・ブッシュを新品に交換（摩耗が見られる場合）。
- オイルシール・ダストシールを新品に交換し、専用工具でしっかり圧入する。
- インナーチューブを組み付け、ダンパーボルトを締める。
④ フォークオイルの補充・エア抜き
- 適正な量のフォークオイルを注入（規定値を確認）。
- フォークを何度かストロークさせ、内部のエアを抜く。
- スプリングを元に戻し、トップキャップを締める。
⑤ フロントフォークの取り付け・最終チェック
- フォークをステムに戻し、規定トルクで締める。
- フロントフェンダー、ブレーキキャリパー、前輪を取り付ける。
- 取り付け後、ブレーキを数回かけて正しく動作するか確認。
- フロントフォークを何度か沈め、オイル漏れがないか最終チェック。
実際のオーバーホール写真
フロントフォークオーバーホールの際も内田さんは逐一写真を撮ってご報告してくださいました。
パーツをバラバラにした状態。オイルが真っ黒です。
各パーツの洗浄
中もピカピカになりました
今回交換したオイルシール
フロントフォークのオーバーホール完了いたしました！
おぉ～～、ピカピカになりました！
オーバーホール後の変化と注意点
オーバーホール後の変化
✅ フロントフォークの動きがスムーズになり、ダンピング性能が回復！
✅ ハンドリングが軽くなり、コーナリングの安定性が向上！
✅ ブレーキング時の沈み込みが適切になり、安全性がアップ！
注意点
✔ 初期なじみのチェック：最初の100km程度は慎重に走行し、動作確認を行う。
✔ トルク管理の徹底：組み付け時のトルクを適正にすることで、緩みや異常を防ぐ。
✔ 定期メンテナンスを心掛ける：フォークオイルの交換は10,000km～20,000kmごとが目安。
実際に走ってみたところ、止まる時の沈み込みが全然違いました！！！また曲がる時も今までは沈み込みながら曲がっていたので、フワ～～っとしていたのが、道路にタイヤが噛んでいる感じでグイ！っと曲がれるようになりました！！
それでは気になるオーバーホールのお値段ですが
次ページで公開！
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