以前から食中毒を引き起こす原因として寄生虫のアニサキスは広く知られていましたが、ここ最近アニサキスが急増しており、食中毒が相次いでいるようです。
これから夏に向かい、釣りのハイシーズンがやってきます。家族で釣りに行ってせっかく釣った魚は美味しく頂きたいですよね。海の幸を安心して楽しむために正しい知識を身につけとしっかり予防をしましょう!!
アニサキスってなに?
アニサキスは寄生虫(線虫)の一種です。その幼虫は長さ2~3cm、幅は0.5~1mmくらいで、白色の少し太い糸のように見えます。
アニサキスの幼虫は、サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなどの魚介類に寄生し、寄生している魚介類が死亡し、時間が経過すると内臓から筋肉に移動することが知られています。しかし、アニサキスの多くは内臓にいることが多いですが、死ぬ前からに筋肉に移動しているアニサキスもいることから、釣ってすぐに内臓を取ったからと安心するのは間違いです!!
アニサキスによる食中毒(アニサキス症)の症状は?
アニサキスが寄生している魚介類を生で食べて,2~10時間後にアニサキスが胃や腸の粘膜に潜入することにより,みぞおちの激しい痛み、悪心、嘔吐を生じます。
近年のアニサキス増加の原因は?!
生で魚を食べる文化のある日本では特にアニサキス対策がしっかり実施されています。それにもかかわらず近年アニサキスの増加が報告されています。原因はいったなんなのでしょうか??
「アニサキス」が40年間で283倍に激増
米国ワシントン大学の水生水産科学学科のチェルシー・L・ウッド助教らの研究チームは、統計によってすべての魚介類に寄生する寄生虫アニサキスが、1970年代以降、283倍にも増加していることを報告しています。
原因はクジラ?!
ではいったい何が原因なのでしょうか?
ここで食物連鎖が大きく関係してきます。プランクトン→小魚→大型魚→大型魚の糞→プランクトンという「食べる・食べられる」関係のことですね。
アニサキスも例外なくこの食物連鎖の中にいます。小魚がアニサキスの卵を食べ、その小魚を大型魚が食べ、その魚の体内でアニサキスは幼虫になります。そして、その魚をクジラが餌として捕食。アニサキスはクジラの体内で卵を産み、クジラから排出された卵を、また魚が食べるという連鎖が起きています。ここで最終的な終宿主であるクジラの絶対数が増えたことが、アニサキス増加の要因となっていると考えられています。
原因になりやすい魚は?
サバ、アジ、イワシ、サンマ、カツオ、サケ、イカ等の魚です。特に堤防でも簡単に釣れるサバ、アジ、イワシは要注意です!!しっかしとアニサキス対策をする必要があります。
アニサキスの予防方法4つ
目視で確認し,アニサキスを除去する。
まずは目視でアニサキスがいるかを確認します。
このように魚に細い筋や糸みたいなものが付いている場合アニサキスです。目視ではすべてのアニサキスを確認することは出来ない為「見た感じいないから大丈夫」というのは危険です!!
加熱する
アニサキスは60℃で1分,70℃以上で瞬時に死滅します。「炙り」では表面に火が通るだけなので、必ず中まで火を通すようにしましょう!
冷凍する
-20℃で24時間以上冷凍すると死滅します。ただし、一般家庭での冷凍庫は-20℃に設定されていない場合もありますので、温度設定をよく確認して下さい。また心配な場合は48時間以上冷凍するのをお勧めします。
釣った魚は速やかに内臓を取り除く。
アニサキスは主に内臓の表面に寄生していますが、鮮度の低下や時間経過とともに筋肉(可食部)内へ移動する場合があります。このため、釣った魚を持ち帰る際は、すぐに内臓を取り除き鮮度が落ちないよう、氷や保冷剤で冷えた状態を保つことが大切です。
特にシメサバ)によるアニサキス症が多く報告されています。シメサバを作る場合は、できるだけ早く内臓や内臓周りの筋肉を除去することともに冷凍をすることで、アニサキスに感染するリスクを下げることができます。
間違った情報には注意!
どこから来たのか、謎の間違った情報が出回っているので信じないように注意しましょう
酢で絞めれば大丈夫?
調味料ではアニサキスを予防できません!!
酢や塩、しょうゆやワサビでは、アニサキスは死にません!
噛めば大丈夫?
全てのアニサキスを嚙み切ることはできません!!
アニサキスはとても小さく、どこに潜んでいるかわかりません。また、アニサキスの表面はなめらかで丈夫、かつ細い糸のような形状のため、全てを噛み切ることは困難です。
まとめ
アニサキス急増の原因がまさかクジラの増加が原因のひとつだったなんて驚きですね。
これから家族で釣りに行く方も多いと思います。釣った魚を持って帰って美味しく頂きたいですが、食中毒の原因になるアニサキスの存在を忘れないようにしましょう。しっかりと処理をして美味しく頂き、楽しい釣りライフを!!!
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